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千曲川の水質



水質保全の制度

わが国の水質保全の制度のあらまし
図1.わが国の水質保全の制度のあらまし

川、湖、海など公共用水域の水質は、いろいろな目的に常に安心して利用するためにも、また野生生物の保護のためにも、さまざまな原因による汚染がなく常に安全でなければならない。そのためには全国で同じような注意と努力が払われるように、国の法律による決まりとそれを実行する制度が整えられている。わが国の法律による水質保全のしくみを示せば、あらまし図1のようになる。

この図に書かれていない分野でも、例えば水道の原水、農業用水、水産用水、工業用水、水浴場の水などについても、水質の汚染を防ぐための基準やいろいろな決まりがある。

わが国の水質保全に直接の関係がある上記の法律のうち、環境基本法と水質汚濁防止法は環境省の、下水道法は国土交通省の、水道法は厚生労働省のそれぞれ所管になっており、長野県ではこられに関係する業務を平成16年5月から一括して水環境課で扱っている。なお県下の野生生物の生息環境の保全は、環境自然保護課の所管である。

表1.人の健康の保護に関する環境基準
項目 基準値 項目 基準値
カドミウム 0.01mg/L以下 1,1,1-トリクロロエタン 1mg/L以下
全シアン 検出されないこと。 1,1,2-トリクロロエタン 0.006mg/L以下
0.01mg/L以下 トリクロロエチレン 0.03mg/L以下
六価クロム 0.05mg/L以下 テトラクロロエチレン 0.01mg/L以下
ひ素 0.01mg/L以下 1,3-ジクロロプロペン 0.002mg/L以下
総水銀 0.0005mg/L以下 チウラム 0.006mg/L以下
アルキル水銀 検出されないこと。 シマジン 0.003mg/L以下
PCB 検出されないこと。 チオベンカルブ 0.02mg/L以下
ジクロロメタン 0.02mg/L以下 ベンゼン 0.01mg/L以下
四塩化炭素 0.002mg/L以下 セレン 0.01mg/L以下
1,2-ジクロロエタン 0.004mg/L以下 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 10mg/L以下
1,1-ジクロロエチレン 0.02mg/L以下 ふっ素 0.8mg/L以下
シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L以下 ほう素 1mg/L以下
備考:基準値は年間平均値とする。ただし、全シアンに係る基準値については、最高値とする。

図1のようなわが国の水質保全の施策の土台となる水質の環境基準は、川と湖と海域について以下の表のように別々に定められている。ただし海域の環境基準は上田市には直接関係がないので省略した。

千曲川の水質の環境基準は、南佐久部の湯川から上流は表2のAA類型であるが、それより下流は県内全域がA類型となっている。上田市とその周辺には湖沼の環境基準が設定されている湖、池、ダム湖はない。

現状の水質が水質の環境基準に合格しているかどうかは、上記の法律に基づいて県の業務として、決められた定点で定期的に測定され、その結果は随時公開されるほか、全県下の1年分の全ての測定結果をまとめた『○○年度水質測定結果ー長野県』が発行されており、その要点は年度ごとの『環境白書』にも収められている。

上田市と関連地域の千曲川およびその主な支流の水質測定点は、千曲川の本川では、丸子町の生田、および下流の坂城町の笄橋と千曲市の千曲橋に設けられている。また支流の依田川では丸子町の依田橋、神川では上田市の神川橋、浦野川では上田市の対景橋に測定点がある。これらの支流の測定点の環境基準も、いずれもA類型である。

上田市はさらに、このような国の法律に基づく監視とは別に、毎年、市内の河川についてよりきめの細かい独自の測定をおこなっており、その結果が公表されている。
以上のような水質の測定結果の詳細は、県庁の水環境課または市の生活環境課で知ることができる。

このような水質の現状のデータは、行政機関としてもまた地域社会全体としても、今後の身近な水域の水質保全をはかっていく上での重要な基礎資料となるものである。

表2.生活環境の保全に関する環境基準─河川
項目
利用目的の適応性 基準値
類型
水素イオン濃度(pH) 生物化学的酸素要求量(BOD) 浮遊物質量(SS) 溶存酸素量(DO) 大腸菌群数
AA
水道1級、自然環境保全及びA以下の欄に掲げるもの
6.5以上
8.5以下
1mg/L以下
25mg/L以下
7.5mg/L以上
50MPN/100ml以下
A
水道2級、水産1級、水浴及びB以下の欄に掲げるもの
6.5以上
8.5以下
2mg/L以下
25mg/L以下
7.5mg/L以上
1,000MPN/100ml以下
B
水道3級、水産2級及びC以下の欄に掲げるもの
6.5以上
8.5以下
3mg/L以下
25mg/L以下
5mg/L以上
5,000MPN/100ml以下
C
水産3級、工業用水1級及びD以下の欄に掲げるもの
6.5以上
8.5以下
5mg/L以下
50mg/L以下
5mg/L以上
-
D
工業用水2級、農業用水及びEの欄に掲げるもの
6.0以上
8.5以下
8mg/L以下
100mg/L以下
2mg/L以上
-
E
工業用水3級、環境保全
6.0以上
8.5以下
10mg/L以下
ごみ等の浮遊が認められないこと。
2mg/L以上
-

(備考)

  1. 日間平均値により評価。
  2. 農業用利水点については、水素イオン濃度6.0以上7.5以下、溶存酸素量5mg/l以上とする。

(注)

  1. 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
  2. 水道1級:ろ過等による簡易な浄水操作を行うもの
    水道2級:沈殿ろ過等による通常の浄水操作を行うもの
    水道3級:前処理等を伴う高度の浄水操作を行うもの
  3. 水産1級:ヤマメ、イワナ等貧腐水性水域の水産生物用並びに水産2級及び水産3級の水産生物用
    水産2級:サケ科魚類及びアユ等貧腐水性水域の水産生物用及び水産3級の水産生物用
    水産3級:コイ、フナ等、β-中腐水性水域の水産生物用
  4. 工業用水1級:沈殿等による通常の浄水操作を行うもの
    工業用水2級:薬品注入等による高度の浄水操作を行うもの
    工業用水3級:特殊の浄水操作を行うもの
  5. 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩道等を含む。)において不快感を生じない限度

 

表3.生活環境の保全に関する環境基準─湖沼
項目
利用目的の適応性 基準値
類型
水素イオン濃度(pH) 化学的酸素要求量(COD) 浮遊物質量(SS) 溶存酸素量(DO) 大腸菌群数
AA
水道1級、水産1級、自然環境保全及びA以下の欄に掲げるもの
6.5以上
8.5以下
1mg/L以下
1mg/L以下
7.5mg/L以上
50MPN/100ml以下
A
水道2、3級、水産2級、水浴及びB以下の欄に掲げるもの
6.5以上
8.5以下
3mg/L以下
5mg/L以下
7.5mg/L以上
1,000MPN/100ml以下
B
水産3級、工業用水1級、農業用水及びCの欄に掲げるもの
6.5以上
8.5以下
5mg/L以下
15mg/L以下
5mg/L以上
-
C
工業用水2級、環境保全
6.0以上
8.5以下
8mg/L以下
ごみ等の浮遊が認められないこと
2mg/L以上
-

(備考)

  1. 日間平均値による評価。
  2. 農業用利水点については、水素イオン濃度6.0以上7.5以下、溶存酸素量5mg/L以上とする。

(注)

  1. 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
  2. 水道1級:ろ過等による簡易な浄水操作を行うもの
    水道2、3級:沈殿ろ過等による通常の浄水操作、又は、前処理等を伴う高度の浄水操作を行うもの
  3. 水産1級:ヒメマス等貧栄養湖型の水域の水産生物用並びに水産2級及び水産3級の水産生物用
    水産2級:サケ科魚類及びアユ等貧栄養湖型の水域の水産生物用及び水産3級の水産生物用
    水産3級:コイ、フナ等富栄養湖型の水域の水産生物用
  4. 工業用水1級:沈殿等による通常の浄水操作を行うもの
    工業用水2級:薬品注入等による高度の浄水操作、又は、特殊な浄水操作を行うもの
  5. 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度

 

表4.生活環境の保全に関する環境基準-湖沼(窒素、りん)
項目 利用目的の適応性 基準値
類型
全窒素 全りん
I
自然環境保全及び以下の欄に掲げるもの 0.1mg/L以下 0.005mg/L以下
II
水道1、2、3級(特殊なものを除く。)
水産1級、水浴及び以下の欄に掲げるもの
0.2mg/L以下 0.01mg/L以下
III
水道3級(特殊なもの)及び、以下の欄に掲げるもの 0.4mg/L以下 0.03mg/L以下
IV
水産2級及びVの欄に掲げるもの 0.6mg/L以下 0.05mg/L以下
V
水産3級、工業用水、農業用水、環境保全 1mg/L以下 0.1mg/L以下

(備考)

年間平均値により評価。

(注)

  1. 自然環境保全:自然探勝等の環境保全
  2. 水道1級:ろ過等による簡易な浄水操作を行うもの
    水道2級:沈殿ろ過等による通常の浄水操作を行うもの
    水道3級:前処理等を伴う高度の浄水操作を行うもの
    (「特殊なもの」とは、臭気物質の除去が可能な特殊な浄水操作を行うものをいう。)
  3. 水産1種:サケ科魚類及びアユ等の水産生物用並びに水産2種及び水産3種の水産生物用
    水産2種:ワカサギ等の水産生物用及び水産3種の水産生物用
    水産3種:コイ、フナ等の水産生物用
  4. 環境保全:国民の日常生活(沿岸の遊歩等を含む。)において不快感を生じない限度

なお上記のBOD(川の場合)、CODおよび窒素、りん(湖の場合)のほか、川でも湖でも水生生物の生息を直接の対象にした環境基準が設けられ(平成15年11月)、さらにその充実が検討されているということである。

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