昆虫類は、世界ですでに記載されたものが100万種近く、日本国内では約3万種、全動物の6割から8割を占めるといわれ、なお発見されなかったり、名前がついていない種がどれほどあるかわからないといわれています。上田市誌自然編資料には2000種弱が載っていますが、調査できなかったゴキブリやハサミムシ、ハエ、ハチ類などを含めたら2倍はらくに超えるでしょう。
クモ類は、現在のところ日本国内で約1300種、長野県内では約430種、佐久・上田地方では約250種が見つかっています。
さて、このように多い昆虫やクモを図鑑にまとめることは到底できません。この電子図鑑にはその爪のあか程も載っていません。というのは、というのは、私がクモ類の調査を目的に山野を歩いている途中で、目に触れるいろいろなものを撮影してきたうちから、昆虫類とクモ類を拾い出したものだからです。しかも、ごくありふれた身近な虫の写真が無いのです。そのような種類は今後も追々充実されていくつもりでいますが、本気で調べるつもりでしたら、図書館にはしっかりした図鑑類がそろっています。それで調べるきっかけになればと願いつつ、上田・小県地域での見聞も書き添えておきました。
テレビでは、自然についての番組が数多く流されています。図書館にもさまざまな大自然についての本がそろっています。学校でも自然保護について学習しています。ですから、皆さんの頭の中には、自然についての知識はいっぱいつまっていると思います。
では、野山に出かけて、テレビや図書館で覚えた知識を生かして自然を見て見ましょう。おそらく、初めは何もわからないでしょう。頭の中だけの知識というものはそんなものなのです。
でも、チョウチョを1匹つかまえたとします。チョウは死にもの狂いであばれて逃げようとします。これが命というものです。チョウの生きようとするエネルギーを感じることができたら、あなたは、自然を見る目の入り口が開けたことになるのです。そして、このチョウは何という名だろう、幼虫はどんなイモムシだろう、何を食べているのだろう、その食べ物はどこにあるのだろうと、いろいろな疑問がわいてくるかもしれません。そうです、チョウをつかまえたという行動が、頭を働かせるための原動力になったのです。
あなたが自然についてもっと知りたいという興味があれば、今度は図鑑などで、幼虫の形や食べているえさなども調べるでしょう。今までのように何となくながめていた図鑑が別の意味を持ってあなたの目に映るはずです。そして今度は幼虫を探しに、再び野山へ出かけて、えさの植物が生えているところへ行って幼虫を探すかもしれません。いました!でも、なんと見つけにくい色でしょう。または、なんと、毒々しい色をしていることでしょう。あなたに心があれば、ここでも生き物が必死で生きのびようとしている姿が見えるのです。
今度は飼育です。えさを取ってきたり、えさの植物が枯れないように世話をする毎日のなかで、幼虫が次第に大きくなっていくのを眺めることは楽しいものです。ところが、せっかく蛹になろうというときに、中からうじが出てきて幼虫が死んでしまったり、蛹になっても、さっぱりチョウが出てこないと思ったら、寄生バチが蛹に穴をあけて出てきたりして、がっかりすることが多いでしょう。そのとき寄生バチがにくらしいと思うかもしれませんが、何と自然はきびしい世界なのだろうと思えたら、あなたはもう自然を見る目が育っている証拠なのです。このように思えるのは、あなたがテレビや図書で得た知識と、あなたの行動と結果とが、初めてつながったということです。ですから、テレビや図書で知ったことは無駄ではありません。あなたが体を動かして行動したからこそ、その知識があなた自身の見方・考え方として生きてきたと思うのです。とにかく野山へ出かけてみましょう。
自然っていいですねえ。私はいつもそう感じて山野を歩いていろいろなものを眺めています。でも、最近の地域の自然は変わってきました。しかも幾何級数的な速さで・・・。
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