ユスリカという昆虫は水のあるところであればどこでも普通に見られます。幼虫は赤い色をしたものが多く、俗に”アカムシ”と呼ばれ、魚の釣りのエサによく使われます。幼虫は4回脱皮して蛹になり、水面で羽化して成虫になります。成虫は蚊に似ていますが、ヒトを刺したり血を吸ったりはしません。夏の夜、蛍光灯に多くの虫が寄ってきますが、カに似た形の虫の多くがユスリカ類です。メス成虫は卵を水辺の植物や水の中に産み、数日するとそこから幼虫がふ化してきます。
日本には約1000種類のユスリカ類が生息していますが、上田市では約100種類のユスリカが確認されています。夏に多くの種類が発生していて、80種類が知られています。秋には約60種類と種類数は少なくなりますが、ビロウドエリユスリカというユスリカ類が市内の至る所で発生しています。
千曲川では場所によって、いろいろな種類のユスリカ類がすんでいます。小牧橋周辺では、上高地でとれた種類と同じものがとれました。一方、古船橋周辺からは、東京の神田川からたくさんでるセスジユスリカやウスイロユスリカがとれました。また、同じ河原で1年を通してとれるユスリカの種類を調べてみると、季節によって、大きく異なることがわかりました。川の水温が低い春先には、エリユスリカ亜科の仲間がたくさんとれ、水温が上がってくると少しずつユスリカ亜科の仲間が増えて、夏にはユスリカ亜科の仲間がその多くを占めるようになります。水温が下がる秋には、また、エリユスリカ亜科の仲間が増えてきます。台風や春の雪解けによる増水で、川の中に生活している昆虫類の多くが流されてしまいます。そのあと、はじめに戻ってくる昆虫類がユスリカ類です。ユスリカ類は増殖する力が他の水生昆虫類に比べて大きいことが理由であると考えられています。
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